シリーズ「あおば子育て事情」は江口 寛さんの文です。彼は30年来の私・大貫の友人です。私の市政ファイル435号からの転載です。
都筑区にお住まいの北嶋節子さんが、自閉症児とその指導にあたる先生、そして応援する同僚たちを描いた教育小説「月虹~ナイトレインボ-」を刊行して間もなく1年になります。
5年生の聡は、時々わけのわからない大暴れをします(いや、周囲がわからないだけで、本人には理由があるのです)。一般に自閉症児は状況の変化にうまく対応できません。
聡は、避難訓練が大の苦手。本当の地震が今にでも襲ってくるような恐怖を感じてしまい、パニックを起こします。春の避難訓練では、誰彼かまわず砂を撒き散らし、ついには池に飛び込んでしまいました。
若い教師の美千子は、そんな聡に寄り添い、励まし、ゆっくりとした成長を待ち続けます。秋の避難訓練には、身体を固く緊張させながらも無事に参加できるようになり、学習表会では、ペープサートでフレディをみごとに演じます。
同僚教師たちの協力で、昨年までは、障害児教室に冷ややかだった一般級の子どもたちも、大きな背景を作って、聡たちを支えます。
障害児の指導という重たいテーマを、持ち前の都会的センスでさわやかに描き上げた「月虹」を、あなたも読んでみませんか。“先生方も捨てたものじゃない”“学校にもまだ希望はある” そんな気持ちになれるでしょう。
月虹 夕方または夜半、月の光によって見える虹。2012年1月7日、石垣市で観測。
「月虹~ナイトレインボ-」 発行:こうち書房、発売:桐書房、1800円+税