シリーズ「あおば子育て事情」は江口 寛さんの文です。彼は30年来の私・大貫の友人です。私の市政ファイル464号からの転載です。
初任の頃の教科書に「星の王子さま」の冒頭部が載っていました。そう、例のゾウを丸呑みしたウワバミを描いた絵の話です。しかし、誰に見せても「そいつぁ帽子だ」と言われます。説明しようとすると、「そんなことより、地理と歴史と算数と文法に精を出しなさい」と言われてしまします。
教科書に載ってない続きも紹介しました。
砂漠に不時着したとき、どこからともなく現れた王子さまに「ね・・・・・・・、ヒツジの絵をかいて!」と頼まれます。厄介だから、例の絵を見せると、「ちがう、ちがう!ぼく、ウワバミにのまれているゾウなんか、いやだよ。」と。
いろんなヒツジを描いても、王子さまは気にいってくれません。そこで、こんな絵を描いて、「こいつぁ箱だよ。あんたのほしいヒツジその中にいるよ」というと、王子さまは、「うん、こんなのが、ぼく、ほしくてたまらなかったんだ」と、満足してくれます。
エミはそんな授業に目を輝かしてくれた一人だった。卒業をして数年
たった年賀状、例の箱が描いてあった。そして、「先生、今でもヒツジが見えますか」と。
ああ、今でも見えるよ。のんびり草を食んでいる子ヒツジも、マフラーを編んでいるママヒツジも、勇敢にオオカミに立ち向かっている若いヒツジも。