シリーズ「あおば子育て事情」は江口 寛さんの文です。彼は30年来の私・大貫の友人です。私の市政ファイル494号からの転載です。
無言館に行きました。30人くらいの小学6年生が熱心にメモをとっていました。原爆や空襲の絵と違う穏やかなこの絵が子どもたちに何を語り伝えるのだろうか。
「入営の時が迫るなか、5分でも10分でも長く描いていたい」「帰ってきたら続きを描くから…」と、言いながら不帰の人となった悔しさは、小学生にも理解できるでしょう
入館料を小中学生100円としている館側の配慮もうかがえます。
また、戦歿画学生の作品を大事に大事に保管していた遺族の思いも。
戦死したわが子のことを尋ねられると画家曽宮一念の機嫌は悪くなった。晩年になるまで一言も息子のことを話さなかった。そんな老画家が90歳をすぎた頃、娘の夕見に「悔しい」と一言いった。頑固だった父親の失明した眼に涙がにじんだのを夕見は初めて見た。
一つだけ納得できないコメントがありました。淡い色彩の日本画「銀座うら」「田園風景」(金子孝信)に添えられています。
戦友の話によると、最後まで勇気ある兵士だったそうだ。絵を描くことへの情熱と同じように孝信は剣をぬいて勇敢に敵前に飛び出して行って・・・
戦友が語ったのか、館の誰かが書いたのか、「そんなはずはない、そんなことあるものか」と、叫ばずにはいられませんでした。
絵筆を剣に代えるなんて・・・・・・